・満ち足りた心
使徒パウロはピリピ教会の人々に対して献金の感謝をすると同時に、彼自身は、お金や物に依存していないことを明言しています。「どんな境遇にあっても満ち足りることを学」んだとは、そのことです。
「満ち足りた心」は、当時のギリシャ人たちが渇望していた精神状態です。どのような状況にも左右されることなく、平安で余裕のある心の状態で、日本的に言えば「悟りの境地」ということです。
・あらゆる境遇に対処する秘訣
さらに「あらゆる境遇に対処する秘訣を心得ています」とあります。「秘訣」とは、当時の神秘的宗教の中で重宝されたことばです。彼らは神秘的儀式や作法で超人的状態に入ろうとしたのです。
しかしパウロは、その秘訣をキリスト信仰によって獲得していることを証ししているのです。
・私を強くしてくださる方
「私を強くしてくださる方によって、どんなことでもできる 」とあります。「私を強くしてくださる方」とは神様のことです。「私」自身は弱く乏しいのですが、神がキリストのゆえに愛してくださり、いつでもどこでも力を注いで強くしてくださるということです。
実際にパウロは何でもできたというのではなく、必要とあらば、神は私を通して「どんなことでもできる」ようにしてくださるということです。キリスト信仰は、小さい者、弱い者をも、絶対的な神信仰に導き「強い者」と変えるのです。