・詩篇121篇
詩篇121篇には、巡礼のためにエルサレムに向かう信仰者が不安な面持ちで「山に向かって目を上げる」様子が描かれています。山は困難の象徴であると同時に、神の臨在と守りの象徴のように見えます。信仰者は2つの思いに迷いながら「山を見る」のです。その迷いを断ち切るのは、神信仰でした。「私の助けは、天地を造られた主から来る」と告白されている通りです。
・アルプと教会
私たちは4日目にスイスに入ることになりました。ドイツとは異なり、起伏が多くなり、やがてアルプスの山々が見え始めました。まずモンブラン、やがてアイガー、メンヒ、ユングフラウと険しく雄大な姿が現れます。アルプスとはアルプ(山の牧草地)の複数形です。険しい山の山腹に牧草地と森林が広がり、裾野には村々が点在します。その中心には尖塔をもつ教会がありました。調和のとれた美しい風景です。
・山と信仰
西欧の開拓は、西ローマ帝国崩壊後、しばらくしてから修道院を中心になされていきます。修道院は地域の農民を取り込んで共同体を形成して開墾を進めます。それはスイス山岳部でも同じであったと思われます。
しかし山岳部は開発は困難を極めました。彼らにとって山々は困難の象徴でしたが、同時に神臨在の象徴でした。彼らは信仰と忍耐によって、目前の困難も天地創造の神によって克服されると固く信じたのです。