・2人の王
ルカ2章の降誕物語には2人の王が登場します。一人はローマ皇帝アウグストであり、彼は人々を力で支配し、人々を搾取する王でした。もうひとりの王は、支配され、搾取される者たちの中に生まれた王でした。その誕生も危機と恐れと悲惨さをともなったものでした。そして後者の王こそが、神の子キリストとして紹介されています。
・布と飼葉おけ
「宿屋には彼らのいる場所がなかった」 とあります。宿屋の客をどかすことなく、神の子は小さい者、貧しい者として謙遜な姿で誕生しました。それでも両親は精一杯の優しさと愛で幼子を受け入れます。「布に包んで、飼葉おけに寝かせた」とありますが、その布と飼葉おけは精一杯の心づくしでした。そして受けとめた時に、彼らの心に神の平和が宿りました。
・私たちの布と飼葉おけ
御使いは野にある羊飼いにもキリスト誕生の御告げを与えます。羊飼いたちが見たのは貧しい姿の幼子でしたが、御告げによって神の子キリストと信じました。それによって彼らも神の平和と生命に満たされて、賛美が溢れました。
2000年後の私たちが見ているのはただ福音によって描かれている幼子ですが、言葉と共に差しだされているのはマリヤとヨセフ、羊飼いたちとまったく同じです。私たちも精一杯の優しさと心からの信仰によって受け取るのです。その時、私たちの内にも幼子と共に永遠の生命と平和が訪れるのです。