・「その日」
31章「新しい契約」の箇所はエレミヤ書の中心です。エレミヤ書全体はここを中心に構成されていると言えます。預言者たちは一様に、世の終わりを意味する「その日」について預言します。それはキリスト到来のときであり、預言者たちの預言が成就する「その時」です。
・新しい契約
旧約時代の民は「古い契約」のもとにありました。十戒は石の板に記された文字でしたが、それは外から命令し、人の努力に訴える性質のものでした。結局、人の心は罪悪の塊ですが、その真実が明らかになる結果となりました。バビロン捕囚の出来事はその裁きでした。「新しい契約」は「古い契約」の後に与えられなければならないものでした。人の罪悪が顕わにされた後、神からの恵みとして与えられるものということです。人間の努力によるのではく、恵みの力に基づく契約ということです。
・「心に書きしるす」
「新しい契約」の特徴は「律法を…彼らの心に…書きしるす」です。つまりは強制によるのではなく、人が自発的愛によって御心をなすようになるということです。
キリストは十字架前夜に弟子たちと最後の晩餐を共にし、ブドウの杯をもって次のように告げました。「これは、わたしの契約の血です」と、そして十字架の業を成就しました。その十字架によって新しい契約の一切が成就したのです。