・盗人と強盗
主イエスは、当時のユダヤ社会とは異なる新しい神の民のイメージについて描いています。それが羊飼いと羊の群れです。
「盗人強盗」とありますが、それは第1に、当時のユダヤ社会の宗教家たちのことです。彼らは神によって派遣されたのでもなく、聖書に従っていない教師たちです。表面は威厳があるのですが、実態は、羊を奪う輩です。第2には、偽預言者、偽使徒、偽教師、異端の輩です。それは今も昔も、隙を狙って、羊の群れに忍び込もうとしています。
・羊の牧者
「門からはいる者は、その羊の牧者」とあります。「門」とは、神が定めた正規の入口のことですが、それは神の証言、聖書の証言に合致していることです。主イエスは、まさにその方で、神の牧者です。
また正規の牧者であるだけではなく、良い牧者です。つまりその民一人一人を知り尽くし、愛し、養い導くことができる方ということです。
・羊は声を聞き分ける
「羊はその声を聞き分けます」とあります。羊は弱く、無知で、自己判断ができないのですが、ただ牧者の声を聞き分けるという能力だけは、与えられているのです。
丁度そのように、神の民も、霊的なこと、目に見えない道について、自分では知ることができません。しかし、主イエスの声を聞き分けるという賜物だけ与えられています。それは、聖書の福音に安心と平安を持つこと、そして自発的に従う心です。
このようにして、主イエスは、古いユダヤ社会とは異なる、愛と人格で結ばれた神の民を作りだしたのです。