・ヤコブの恐れ
ヤコブは故郷を前にして、兄エサウに対する恐れに囚われていました。それは恵みの神に対する信仰の不徹底さでもありました。そこで兄エサウに会うに際して、贈り物を用意し、さらに幾つかの集団に分け、自分と家族は最後に行くように手はずを整えました。
・ヤボクの格闘
先に家族を渡河させてから、ヤコブは一人残ると、「ある人が夜明けまで彼と格闘した」とあります。それは肉体と肉体による格闘でしたが、同時に、祈りの必死の闘いでした。さながらこれまでの人生を想起させるような闘いでした。
・祝福の獲得
「ヤコブのもものつがいを打った」とあります。人間の軸となる部分を、御使いが打ったのです。ヤコブは、さらに必死にすがりつき、泣くようにして祝福を求めました。それで御使いは、ようやく彼を祝福し、彼に新しい名を与えました。イスラエルとは「戦いに勝った」という意味でした。
・朝日の中で
「太陽は彼の上に上ったが、彼はそのもものためにびっこを」とあります。彼の姿は、もはや人間の力に頼らず、神の祝福にのみ生きる人の姿でした。ヤコブの体験は、後の信仰者の典型となっています。私たちも祝福の約束をいただいていますが、それを本当に自分のものにするためには、人間の力に頼らず、ただ神のあわれみに頼る戦いを経なければならないようです。